500円の価値を最大化する|High-Five COFFEE STAND 髙木 尚美

コーヒースタンドに辿り着くまで

私は、茨城県のつくば市出身で、大学進学時に地元を離れ、神奈川県へ行きました。
大学は、美大を出ていて、卒業してから10年ぐらいずっと絵を描いていていました。
なので、デザインの仕事や、編集の仕事をしたり、自身の個展を開いたりしていました。
その10年ぐらいの間は飲食に携わったことはなかったです。

大学の時に、喫茶店でアルバイトをしていて、そこで主人と出会いました。
アルバイトの頃は自ら仕事として、飲食がやりたいといった気持ちはありませんでした。
仕事に関しても「絶対この仕事をやりたい」といった気持ちはなく、環境が面白ければどのような仕事でも好きにはなれると思っていました。

ただ、絵の制作活動をしながら、主人は「30歳になるまでに長野に帰って、絶対お店を始める!」と言い放っていたので、いずれは一緒にやるんだろうなとは思っていました。(笑)
結婚していなかったら長野へ来ていなかったと思います!(笑)

もともとコーヒー屋さんをやりたいと言っていたのは主人なので、そこに関して、そこまで私が「こうした方が良い!」と口を突っ込む気持ちはなかったのですが、二人で話していく内に「コーヒースタンドにしよう。」と話が進んでいって、同時に興味もよりわいてきました。

カフェをやるのではなくて、あえてコーヒースタンドというスタイルがすごく面白いと思っていて、そこにはこだわっていきました。

コーヒースタンドっていわゆるテイクアウトできるお店というのが大前提だとすれば、自分たちの作ったものが街に出ていく。
その絵を想像するとすごく魅力的に映りました。
お店の中で完結するのでは無く、私たちの商品が街で動くということが面白いと感じてましたね。

500円の価値を考える

もちろんコーヒーにはこだわっていますが、コーヒーは、お店を始めるまでそこまで詳しくありませんでした。ですが、お店を始めることになって勉強していく中で、知れば知るほど「コーヒーって面白いな」と感じていました。
焙煎や品種、精製とかで味が全然異なるという事が面白いと感じていて、それをお客様にも知って欲しいし、伝えたいという気持ちが強くて、オーダーの時話せるタイミングがあれば、いろいろ伝えていっています。
商品をただ出して、飲んでもらうのではなく、せっかく500円のコーヒーを飲むのであれば、なるべく多くの事を知ってほしいなと思っています。

長野の魅力

単純に外からみた長野県の第一印象は、昔ながらのお店や蔵造りが伝統的で素敵な街だなと思ったのと、つくばには山が一個ぐらいしかないので、自然が良いなと思いました。
観光に来た人もこのような感想を最初に持つと思うのですが、長野県に来てから二年ぐらいたって思うのは、個人でやっているお店が多くて、人の繋がりが超ディープなところが東京にいた頃は感じなかったことだと思います。
知り合いにその辺で会うことはありえないですからね。(笑)
ちょろっと歩いているだけでも知り合いに合う環境はすごく面白いですね。

また、松本には、コーヒー屋さんはすごい沢山あるのですが、よりいろいろなお店を回るのが楽しくなる為には、お客様にコーヒーの面白さを知ってもらうことが必要だと思います。
そういう意味では、個人では出来ないことをいろいろなお店と一緒にやることで、お客様に興味を持ってもらえればと思っています。
こうしなければならないという正解は無いのですが、お客様が自分の好みを知るという意味でもいろいろ飲んで深いところまで知ってほしいと思っています。

今後の自分

お店を初めてから、お店に専念していたこともあって絵を描く機会が少なくなっています。
もうちょっとちゃんとやりたいなと言う気持ちがあって、これから改めて絵の制作をスタートしたいと思っています。
今はお店のロゴ等を任せてもらったりといったことはありますが、
デザインよりも自分のテーマの中で制作をしていきたいと思います。

最後に一言

Have a GOOD COFFEE!!!
「もっと滑舌よく!!」(ご主人から)
Have a GOOD COFFEE!!!!!!!!!!!!笑

ナチョ・リブレの一コマ|High-Five COFFEE STAND 髙木 徹仁 #2

 

ナチョ・リブレの一コマ

もともとお店を夫婦でやろうとは決めていなかったです。
一人で出来るかなと思っていたら、一人で出来なかった。
デザインとか含めてですけど。(笑)

やっぱり二人でやっていると出来ることの幅が変わってきます。
実際に、お店の多くのデザインは妻が手掛けています。
僕の飲食目線から見たデザインと、単純にデザインの観点から見た妻のデザインとを組み合わせてやっています。
結局誰かに頼むとなると、その人に箔はつくけど、どうしてもその人のテイストが入ってしまう気がする。それよりも出来なくても絞り出してオリジナルとして形にすれば、誰ともかぶらないからという意味で基本的には自分たちでやっています。

様々な飲食店を経験したので、未知だったのは自家焙煎ぐらいです。(笑)
焙煎は趣味程度に、自宅でコンロを使ってやったりといった経験しかなかったのですが、どうせこうやって表現していくなら、豆を自分で作るべきだなと思って。
そこからすぐに焙煎機を買って、練習をして、コーヒーマイスターを持っている上司に意見を聞きながらオープン前まで試行錯誤をしていました。
オープン当初は、納得できるものに辿り着くまでに時間がかかりましたが、今は安定してイメージしたものが作れています。

お店をやっていく中で、「こだわる必要がないところにこだわる。」という想いがあります。
例えば、店名。すごく悩むところだと思うのですが、前提として意味の無い名前にしたくて。「高木コーヒー」でもよかったのですが。(笑)

意味なく覚えやすいアイコンとなる名前はないかなと探していました。
その中で「ナチョ・リブレ」というコメディーのプロレス映画を見ていて、タッグマッチの相方とジャックブラックが仲直りするときに、「Hifh five!」と言っていて、「なにこれ!」と。(笑)
で、調べたら「ハイタッチ」という意味で「これで良いじゃん!」って感じです。(笑)

面白いを追求する

地元の人がこのお店だけではなく、色々なお店を通って面白いと思ってもらうことで良い街になっていけば良いのではと思っています。
松本の面白いところは、駅を少し歩いていくと面白いお店が多くあるという事だと思っているので。

後々にいろんな考想を形にしていければと思うんですけど、もし、面白くないとお客様が思ってしまったら、きっと大きな資本が来て飲まれてしまうのではないかという思いもあります。
その中で、今のところ個人店ですけど、個人店としての立ち回りが出来て、周りのお店と連携を取りながら盛り上がっていければ良いと思っています。

そういったところでお店同士の横の繋がりも増えています。今取り組んでいるプロジェクトは、もともと「Film ABOUT COFFEE」というコーヒーのドキュメンタリー映画があり、それを共同で上映しないかということで関わりあったのがきっかけです。

それから今では、地方でもありますが、コーヒーフェスといって全国のロースターさんとかが集まるイベントがあり、そういったこともゆくゆくは松本で出来ないかなという想いがあります。こだわって焙煎をやられている方にお声掛けをしたり、されたりしてコミュニティーを作って、いろいろ出来たら楽しいと感じています。
お店の人目線でどうやってコーヒーをアプローチしていくかというところを考える仲間がちょっとずつ増えているかなというところですね。

夢はブルータス!!

これからのお店に関しては、松本に留まってこのお店だけを守り抜きたいという想いは少し違っていて、これからコーヒー屋をやっていく中で、例えば「この街にもあれば良いな」とか、「この街でコーヒー屋やるのかな」ということがイメージできれば、松本以外の場所にもお店を出していきたい将来的な想いもあります。
夢は中央線を繋げることですかね!(笑)

あと、コーヒー屋でブルータスに載りたいんです!(笑)
理由は、単純に好きな雑誌だから!(笑)
自分が読んでいる雑誌に載りたい!(笑)
ブルータス、ポパイ、、、、、。あと、全然違うけどジャンプに載りたい!(笑)
どんな関わりで載れるんだろう。
オリンピックとかでないと無理かな~、、。

最後に一言

「絶対に来てくれよな!!」
(悟空風)