バー2018.10.25 Text By ryosuke kobayashi ,
Photographs By ryosuke kobayashi

エルドラド15年|カンティーナわん 砂子 慎哉 #2

カンティーナわん

砂子 慎哉

Iターンフランス富山県思い出の店

お客様と向き合う

お店って結局人だと思うんです。
私がいい加減だと、お店もいい加減になるし。私がつまらない人だと、つまらないお店になるし。自分を磨くことは大切なので、いろんな方に出会って、言葉遣いや、振る舞いを勉強してと、出会った方の複合系が私だと思っています。

また、バーの対面接客というものについては一般飲食とやや違ったところがあると思います。
まず、テーブル席があって接客をするというのはお客様と接する時間がすごく少ない。
テーブルの横にべったりついているのはおかしな話なので。
お客様の時間を大切にしてもらって、なにか必要なときに、さっと手を差し伸べるのが、レストラン、居酒屋の仕事だと思います。
でも、バーはもっと近い距離感です。
これだけお客様と向き合って長い時間接客をすることは他の業態だと無いかと思います。
美容師さんと近いものがあると思います。
お客様と向き合うという事は、お客様の人生とも向き合うということです。
いろんなお話を伺います。普通の飲食店や居酒屋では話さないことを話されていると思います。ここにだけ話してくださることは墓場に持って行くというか、それを聞くというのはそれだけ責任が発生するという事なので、そういう意味では有り難いことだと思って受け止めています。

バーテンダー歴は17年目ですが、今までいろんな失敗をしてきました。
「恥って何回かくんですか?」ってぐらい。(笑)
私は、修行らしい修行をほとんどしないままお店に立ったので、、、。
シェイカーぶっ飛ばしたこともありますし、、。
その瞬間スローモーションですよ。
お客さん口開くみたいな。
カクテルの配合を間違えて、お客様大激怒っていうこともありました。
営業中にお客様倒れて救急車呼ぶとか、言えないことも多々ありながら、カウンター越しに17年間いろんなことがありました。

エルドラド15年

最初に出会ったお酒が“エルドラド15年”というお酒でした。
ラム業界の中では、有名なお酒です。
これを最初に飲んだ時に衝撃を受けまして。
当時、20代中ごろでお酒の味がわかったような、わからないような時期でした。
ウィスキーを飲んでるのも少し背伸びをしていた部分もあったんですけど、これを飲んだ時に、「なんだこれは?」と。
素直に美味しいと思えるお酒だったので、目から鱗でした。
そこからお酒の事を調べ出して、「ラムって何?」「他にもいっぱいあるじゃん」と。
とにかく端から買って、端から試して「やっぱりラム好きだな!専門はラムだな!」と思ったんです。
そこから、どんどんラム色を強めていって、今は、ラム酒専門となりました。

日本ではまだマイナーなお酒ですが、世界で見るとメジャーなお酒です。
世界中色々なところで作られていて、今リリースされている銘柄が約4万銘柄あると言われています。
ウィスキーは作れるエリアが限られていたりしますので。
それと、ウィスキーは熟成させてから、商品化されるまで10年かかると言われていて、なのである程度資本力がある先進国でないと作れなかったりという事が起きてしまいます。
それに比べてラム酒はそんなに日にちをかけずに商品化できるので、小さい蒸留所でも作れるお酒なのです。

日本一標高が高い蒸留所

日本には、沖縄を中心に9か所蒸留所があります。
これから自分が建てた蒸留所でラム酒を作りたいと思っています。
少し前までは沖縄に蒸留所に作りたいと思っていたのですが、今は出来れば信州に作ろうと思っています。
信州は、標高が高いので蒸留所を作ることができたら、日本一標高の高い場所で作ったラム酒が出来ます。
日本一になってみたくないですか?
小っちゃい男の夢ですが。(笑)
その時は、「ハイランドラム」という名前を付けたいと思っています。

しかし、信州でサトウキビを栽培するとなると効率が悪い話になってきますので、サトウキビは沖縄の物でやろうと思っています。
サトウキビは足の速い植物なので、加工したサトウキビを輸送するというやり方を考えています。
「ハイテストモラセス」という製法があるのですが、それであれば長野県へ良い状態で持って行くことが出来るので、こちらで蒸留するという流れです。
蒸留所建設という目下の夢です。
お客様からも「楽しみにしているよ!」「いつやるの?」と、言った以上は常に責め立てられているので、やらざるを得ない状況です。
自分で自分の首を絞めたんですけど。(笑)

バーの楽しみ方

初めてのお客様だとよく言われるのが「オススメを下さい。」「美味しいやつを下さい。」
場合によっては、「私に似合うカクテルを下さい。」
せっかくお越し頂いたら自分にあう一本を見つけて帰ってもらいたいなと思っています。
「ラムを飲んでよかったな。」「知らなかったことが知れてよかった。」と思って頂きたいと思います。
その為に私は、お話をさせていただくようにしています。
その方の味覚の話、普段飲むお酒の話です。
これを聞き取った上で、どのお酒を紹介すればお客様にぴったり合うのかというのを経験則の中で感じて、一本ご紹介する。
お酒を選ぶプロとして、お酒を提供するプロとして、その方にとって最適な一杯を探す努力をしています。
当然、100%という精度はいきませんが、90%まで精度を上げてきていると思っています。
もちろんメニューはありますが、あまり役に立ちません。
せっかくですからカウンターに座っていただいたら、なんの話題でも良いのでお話しから始めましょう。
まだAIにはできない仕事だと思っています。

最後に一言

ラムは、味や、香りの表現力がとても豊かなお酒です。
ちなみに当店には、常時、約250種類のラムを取り揃えています。
あなた好みの一本を一緒に探しませんか?

カンティーナわん

■住所 〒390-0811 長野県松本市中央2丁目9−11 2F Googlemap

■営業時間 20:00-2:00 定休日:日曜

■TEL 0263-37-1188

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